前回のブログ記事にて「舌の力を借りて口を閉じたほうが顎関節やあごを動かす筋肉への負担が少なくなる」ことについてご紹介させて頂きました。
「舌の力を借りて口を閉じることが出来るようになると、お顔にはどんな効果がありますか?」とのご質問を頂きましたので改めてセルフケア方法についてを文章と動画にてご説明させて頂きます。
詳しくは動画かサマリーをご覧ください。
サマリー
あごのコリの原因は
①顎関節(あごの関節)そのものの不調
②歯ぎしりや噛みしめなどの咀嚼筋(そしゃくきん/噛むときにあごを動かす筋肉)への負荷を増大させるクセや習慣があること
などなど・・・様々な原因があります。
これまでは主に咀嚼筋の筋硬結(コリ)や筋膜の癒着を歯ぎしり噛みしめ癖が助長してしまうので、それらに対してどのようにアプローチ・セルフケアをすればよいのかご紹介させて頂いてまいりました。
また、今回新しくご紹介させて頂いたのは【口を閉じる際に上下の歯を接触させてしまうクセがある】(=上下歯列接触癖)ことが顎関節や咀嚼筋への負担を高め、歯科口腔外科における調査の結果においても顎関節症の原因の大半を占めていることが判明しています。
それではこのようなクセを持っている人は一体どのように対策をすればよいのでしょうか?
あなたは口をどうやって閉じますか?
あなたは「口を閉じなさい」と言われたときにどのように口を閉じるでしょうか?
恐らくですが、大半の人は上下の歯をかみ合わせることで口を閉じようと試みると思います。ちなみに私もそうでした。
しかし、上下の歯が接触すると反射的に咀嚼筋に緊張が入ってしまいます。ストレスを受けた時や集中したいときなどに上下の歯を接触させるクセがある人はたとえ歯ぎしりやギュッと噛みしめたりしなくてもどんどん咀嚼筋や顎関節に負担が増大し、やがて顎関節症に発展する恐れがあることが歯科研究によりわかっています。
恐らくですが、「ほら!口をポカンと開けない!」といった”しつけ”や、浮世絵の歌舞伎役者に見るような”口を一文字に結んだ姿が美しい”とする日本人の価値観が「口はきちんと閉じなくてはならない」という強迫観念や価値観の背景にあるのでは?と私は考えています。
どうやって口を閉じるのがよいのか?
上述の通り上下の歯を合わせることで口を閉じることは人体にとって意外なほど負担があることがわかって頂けたと思います。
それではどのように口を閉じるのが正しいのでしょうか?そのアンサーは【舌を上あごにつけることで口を閉じる】ことです。
ヨガや歯科矯正の世界ではしばしば指導されていることなのですが、上下の歯を合わせなくても、舌を持ち上げて上あごにペタリと付ければ口は閉じるのです。
こうやって下の力を借りて口を閉じるようにすれば、口の開閉を100%咀嚼筋(そしゃくきん/あごを動かす筋肉)に依存しなくて済むので、逆に言えば【浅い呼吸】【睡眠の質の低下】【肩首のコリ】などの不調の原因となる”アゴまわりのトラブル”を間接的に予防できる手立てとなるのです。
舌の力を使って口を閉じることは顔にどんな変化をもたらすか!?
舌の力を使って口を閉じれるようになると顎関節に関与する筋肉の負担や、顎関節の不調に起因する身体の不調を予防できるのは上述の通りですが、これはお顔の筋肉(表情筋)や身体の前面の筋膜(首の前面や胸、横隔膜、腹直筋など)にもよい効果をもたらします。
例えば口のまわりには口輪筋(こうりんきん)という筋肉があります。ここが慢性的に緊張するようになってくるとほうれい線をはじめとした口のまわりのシワが深くなる原因になってきます(クリープ変形)。
慢性的に顎関節に負担がかかっている人は口輪筋をはじめとした顔面の筋肉や身体の前面の筋膜の癒着が強くなってくるため、顔面の筋肉が引っ張られ、表情が険しい感じになってきたり、目が開けづらくなったり、顔面の筋肉そのものが下がってきたりします。
身体の前面の筋膜の癒着が強くなってくると【首の前面のシワ】の原因にもなってきますので、美容的な面から見ても、ありがたくないことが起こってくると言えるでしょう。
舌の力を借りて口を閉じるようにすること(=咀嚼筋や顎関節の負担を日常から軽減すること)は、お顔のあり方にも影響するのです。
最後に
【舌を上あごにつけて口を閉じる】という方法は一般的にはあまり知られておらず、結果として顎関節に起因する不調をかかる人が増大しているのが現状です。
こういったことはぜひ小学校などで教育の中で教えるべきだと思うのですがいかがでしょうか?
今後もこの手のお役立ち情報があればどんどん発信していきたいと思いますのでお見守り頂けると幸いです。