「整体院では身体の背面ばかりで他は触ってもらったことがない」という方ってけっこう多いのではないでしょうか？
少なくとも当院にご相談下さいます背中の痛みにお悩みな新規様のほとんどがそういった方ばかりです。

一見、背中のコリ・痛みの解消のために背中に施術することはとても正しいことに思えます。
しかし、実態はそうでもないのです。

人間が感じている痛みというのは案外当てにならないもので、背中で感じている痛みの原因が全く違ったところにあることも珍しくありません。
それでは背中の痛みの真の原因とは一体なんなのでしょうか？

また、背中の症状がある方は「睡眠の質が悪い」「よく眠れていない」ケースが多く、睡眠不足からくる自律神経失調や疲労感が出てくることもあります。

自律神経の不調が出てくると多いのが「ぎっくり背中」です。”ぎっくり”というと腰にしか起こらないイメージがありますが背中にも起こります。

たいてい菱形筋（りょうけいきん）という肩甲骨と背骨をつなぐ筋肉が何らかの動作（例えばベッドから起き上がったなど）によって微細損傷を起こし捻挫状態になるのですが、ここに損傷が起こると肩甲骨が不安定になるために腕が背中の激痛で動かしづらくなったり、身体を捻ると背中に激痛が走るなど生活の支障になるレベルの症状に発展します。

また、背中の問題は肋骨の問題に直結するため、呼吸器に悪影響を及ぼし「息苦しさ」「胸の痛み」などの原因にもなってきます。
このように背中の症状というのは単なる痛みだけではなく意外と複雑で多岐に渡るのです。

そのため背中を引っ張っている部位によって痛みが出てくる場所が変わるという特徴があります。
ここでは背中を上部・中部・下部の３つのエリアに分けてそれぞれ痛みの原因についてご紹介します。

背中の上部の痛みの原因は主に大胸筋や鎖骨の問題によって起こってきます。

もちろん肩甲骨も無関係ではないのですが、肩甲骨は鎖骨と関節を構成しているため鎖骨との連携がおかしくなってくると痛みの原因を作ります。

また、鎖骨については首も関係ありますが大胸筋や鎖骨下筋といった胸回りの筋肉・筋膜に問題が起こってくると鎖骨が引っ張られ、結果として肩甲骨や背中周りの痛みの原因になるのです。

背中の中部の痛みは主に肋骨の問題によって出てきます。

肋骨の周辺には肋間筋や前鋸筋といった筋肉が付着していますが、これらの筋肉は人体を背面から前面に回り込むようなかなり立体的な構造をしています。

肋間筋や前鋸筋に問題が出てくると肋骨の周りに沿って痛みが出てくるため、結果として背中の痛みにつながるのです。

背中の下部の痛みは主に横隔膜（おうかくまく）に引っ張られることで出てきます。

横隔膜は肋骨の底面を覆っている重要な呼吸筋の一つですが、お腹周りの腹筋群に肋骨を引っ張られるなどしてうまく動かなくなることがあります。
そうなってくると筋膜的に癒着を起こし、結果として背中の痛みの原因を作るのです。

具体的にはみぞおちのあたりに柔軟性がなくなる（ぐーっと押しても指が入らないなど）と横隔膜の筋膜的な癒着が起こっている目安になります。

横隔膜が背中の痛みの原因になるなんてイメージしづらいのではと思いますが、臨床的には「横隔膜にアプローチすると背中に響く」という方も多く、施術を通して実感していただけることと思います。

背中の痛みの原因として他にも考えられることがいくつかあります。

当院で比較的多いのが「皮膚」です。
皮膚は自由神経終末という痛みを伝える神経が高密度に存在しており、皮膚が自由神経終末が存在する「皮下組織」と呼ばれる階層と癒着を起こすと神経を刺激して痛みの原因になります。

また、背骨の問題も背中の痛みの原因になります。
例えば肋骨と背骨が関節を作っている肋椎関節（ろくついかんせつ）という部位があるのですが、ここに問題が起こると背骨と肋骨の連携に問題が出てきて痛みを発します。

全身の筋膜的な問題から不調が続くと場合によっては背骨の関節に慢性的な炎症が起こることもあり「背骨が締め付けられる様に痛い」と訴えた方もいたぐらいです。

かたや異常な痛みを感じる場合にはきちんと整形外科に受診して診察を受けることも重要です。

スマホ操作をはじめとした姿勢不良の原因になる生活習慣の他に、現代人の背中の痛みの原因として圧倒的に多いのが肋骨や横隔膜、お腹周りなどの身体の前面です。
原因があると思われる部位にアプローチしながら背中が痛みから解放されてくるのを感じ取っていただきます。

背中のコリや痛みの原因が自律神経や呼吸器にまで食い込んでいる場合には施術を数回行なって身体の全身状態が回復してくるのを観察する必要がありますので計画的な施術の組み立て・アプローチが必須となります。

筋膜の癒着が原因で呼吸をはじめとした身体機能が弱っている場合には施術の計画に筋トレやリハビリのような一面が出てきますが、不調のない状態を本物にするために必要なプロセスでもあります。

慢性的な背中のコリ・痛みがずっと続いていてお悩みの方、きっとお役に立てると思いますのでぜひご相談下さい。