片頭痛のセルフケア方法 呼吸力

今回は【片頭痛のセルフケア方法】について【呼吸力】をテーマにご紹介させて頂きます!

 

詳しくは動画かサマリーをご覧ください↓

 

サマリー

●腹筋に筋膜的な癒着が起こると肋骨がうまく動かなくなり呼吸力が低下する。その結果、呼吸が浅くなる。

●呼吸が浅いと脳が酸素不足に陥り頭痛の原因になる。

●メカニズムとしては【血流量低下や酸素不足を解消するために放出された化学物質(血管を広げる炎症性物質)が血管周辺の神経を刺激するため】頭痛が起こる。

●これは気圧の変化に伴う片頭痛(天気頭痛)の発生プロセスとほぼ同じである。

●腹筋や横隔膜をセルフケアすることで呼吸力を上げることができる。

●よって呼吸力の低下からくる片頭痛のセルフケアの際には腹筋と横隔膜をアプローチしてみるのもひとつの方法である。

●肩首にアプローチしてもよくならない人は呼吸力にアプローチする必要がある。

肩や首に原因がない頭痛がある

以前のブログ記事にて後頭下筋群(こうとうかきんぐん)の硬結に伴う神経圧迫が頭痛の原因の一つであることをご紹介させて頂きました。

 

 

頭痛の原因は上記のみならず他にもたくさんありますが、日常生活の中で健康な人でも発生しやすい原因の一つが【腹筋(腹直筋)や横隔膜(おうかくまく)の癒着に伴う呼吸力の低下です。

 

あまり耳慣れない方も多いかと思いますが横隔膜(おうかくまく)とは肋骨の下縁を覆っている筋肉のことで、呼吸の際に非常に重要な役割を担っています。

 

それではなぜ呼吸力の低下が頭痛の原因になるのでしょうか?

 

呼吸力の低下による頭痛の原因とは?

呼吸力が低下し、その結果、脳が酸素不足に陥ると頭痛の原因が発生します。その原因とは【炎症性物質】

 

具体的にはブラジキニンとかプロスタグランジンなどの化学物質ですが、脳は血流や酸素濃度の低下を感知すると上述のような化学物質を放出し、血管を拡げようとします。血管を拡げることでよりたくさんの血液と酸素を取り込もうとするのですね。

 

 

 

しかし、これらの炎症性物質が血管内に発生すると周辺の神経にまで神経痛を起こしてしまうため頭痛の原因になってしまうのです。ちなみにこれは気圧の変化によって引き起こされる片頭痛(あるいは天気痛)の発生プロセスでもあります。

 

脳からすれば【酸素不足=生命の危機】なのでしょうから無理からぬ反応だとは思いますが、なかなかうまくいかないものですね・・・。

 

横隔膜と腹筋はどのように呼吸と関係するか?

肺が納まっている空間を解剖学では胸腔(きょうくう)と呼びます。

 

胸腔は【肋骨】【肋骨を覆う筋肉】で囲まれた空間であり、この胸腔が広がることで肺が拡がり、呼吸が行われています。

 

 

胸腔を拡げるのは肋骨と肋間筋(ろっかんきん)、そして横隔膜という肋骨を覆う筋肉です。皆さん意外に思われるかもしれませんが【肺には自分で膨らむ力が無く、むしろ縮もうとする】ため胸腔内の圧力が肋骨や筋肉の作用によって変化することで肺が膨らんだり縮んだりしているのです。

 

鋭い方はもうお気づきかと思いますが、肋骨がうまく動かなければ呼吸の効率や力が低下してしまいます。外傷を例に出すと【フレイルチェスト】(※)という現象があり、これは交通事故などで肋骨をあちこち骨折してしまうと呼吸困難に陥るというものです。

 

即ち、肋骨に付着している腹筋や横隔膜が筋膜的に癒着を起こすと肋骨がうまく動かなくなって呼吸力が低下し、頭痛の原因となる・・・というわけです。

 

呼吸力の低下からくる片頭痛のセルフケア

具体的なやり方はこれからご紹介する動画でご覧いただければと思いますが、腹筋を指先でぐーっと押さえて沈め止まったら正中から左右をかき分けるように左右に指先を動かしていきます。これを下から上へとゆっくりやってみて下さい。

 

また、横隔膜へのアプローチはみぞおちの隙間を作るようなイメージでぐーっと指先をみぞおちに沈めていきます。この時には肋骨に負担をかけないよう部位と力加減を注意してください。くれぐれも肋骨に大きな圧力をかけないようご注意を・・・。

 

慣れてきたら息を吸って吐くときにみぞおちに指を沈めていくイメージでやって頂くとより効果的です。

 

最後に

私たちにとって呼吸はあまりにも日常的なこと過ぎてあまり不調の原因になるという発想が無い方も多いかと思います。

 

かくいう私も今以上に初心の頃や20代の頃は【呼吸力】と言われても何か精神論的な綺麗事のように聞こえてしまって敬遠していました。

 

しかし、科学的には呼吸は人間の生命活動にとってもっとも重要なものであり、ゆっくりと意識的に深い腹式呼吸を行うことは唯一セルフで神経をコントロールできる方法であると言われています。

 

(逆にパニック症にともなう過呼吸など、呼吸を乱すと人は大なり小なり心身の状態が不安定になってしまう)

 

呼吸が延髄の働きで自動的に行われている睡眠時にも【睡眠時無呼吸症候群】などの病気が問題になるなど呼吸が不安定だと不調や病気の原因になることが近年、社会問題化してきました。

 

このように健康を取り戻すために呼吸が重要なポジションを占めていることがわかって頂けると思います。

 

また、意外と見過ごされている呼吸の問題は整体の施術の結果にも非常に相関関係があります。

 

次回は施術と呼吸の間にどのような関係があるのかについてご紹介したいと思います。