膝痛と肋骨は関係あります。

今回は【膝痛と肋骨の意外な関係】についてご紹介させて頂きます。

これまでのブログで膝の痛み・不調は股関節や足首に問題があると起こるとご紹介してきましたが、それ以外にも膝の痛みの原因となる関節があります。それは肋骨です。詳しくは動画か要約をご覧ください。

(◆ブログの過去記事:膝が痛い)

※動画は準備中です。

 

要約

●膝は曲げるだけの関節なのでねじりや傾ける動きに弱い。

●体をねじったり傾ける時に活躍している関節(足首、股関節、肋骨、腰椎、頚椎など)に不具合が起こると膝にねじる動きがかかってくる。

●よって股関節や足首にアプローチしても膝の不調や痛みがなかなかとれない場合には肋骨にも目を向ける必要がある。

●肋骨は首と腰に挟み込まれた領域なので肋骨がうまく動かなくなってくると首や腰にも悪影響が出てくる。

 

膝は曲げるだけの関節

 

膝は【曲げるだけ】の関節であり回旋・側屈(ねじる・かたむける)運動に弱い関節です。

膝はねじれるような運動に対して前十字靭帯・後十字靭帯という×の字状に張り巡らされた靭帯(関節が余計な動きをしないように固定している筋肉)によって守られています。

サッカーの試合中に選手がクルッと急激に方向転換した瞬間、膝から崩れて立ち上がれなくなりタンカで運ばれていった・・・。負傷名は十字靭帯損傷だった。というような事故を私はTVでみたことがあるのですが、これがまさに膝が急激なねじりの負荷に耐えられず破断してしまったケースになります。

日常生活における膝の痛みはこのような急性外傷にみる激しいものではありませんが、本来はねじってはいけない関節にねじりの運動がかかってきたときに膝の痛みや不調が起こってくるという点では同じといえます。

それでは膝の関節にねじりの運動がかかってくる原因とは一体なんなのでしょうか?

 

胸椎(あばら骨)の可動域低下が膝にねじる動きをもたらす

 

肋骨まわりはダイナミックに可動することがないのであまり動かない(あるいはまったく動かない)というイメージの方が多いのではないでしょうか?確かに肋骨周りというのは大きな関節運動が起こらないのであたかもそんな気がしてしまいます。

しかしながら、肋骨周りというのはたくさんの骨があり、その骨の数だけ関節面があります。すなわち1箇所1箇所はあまり大きく動きませんがトータルで言うとけっこう動いている部位なのですね。

 

 

肋骨が比較的大きな運動をしている場面はやはり呼吸でしょう。意外なことに肺自体は膨らむ力がないために肋骨で囲まれている領域(胸腔/きょうくうと言います)が肋骨の運動によって膨らまされるとそれにつられて肺が膨らむという構造になっています。

他にも肋骨には以下のような働きがあります。

 

●呼吸運動の要となる役割を果たすとともに心肺を外力から保護する鎧のような役割をしている。

●胸骨×1個、肋骨×左右で24本、胸椎(背骨)×12個の合計37個の骨で構成され、全部で102箇所の関節面が存在する上に可動が大きい頚椎(首)と腰椎(腰)の中間に位置し、首と腰の連動を中継する部位でもある。

●体幹の運動をスムーズに成立させるために活躍するが、関節面の多さからひとつひとつの関節に可動域制限がかかってくるとトータルで体幹の運動の障害が発生させる原因となる部位とも言える。

 

以上のように肋骨周りは意外なほど複雑な動きをしていることがわかります。すなわち肋骨に存在する関節に可動域の問題が出てくると首や腰の動きがおかしくなり、やがてそれは代償的に膝へと影響を及ぼすようになるのです。

それでは肋骨が関係している可能性がある膝の痛み・不調にはどんな特徴があるのでしょうか?

 

肋骨と関係がある膝の痛み・不調の特徴について

 

肋骨との関係が疑われる膝痛の特徴はズバリ【体をねじった時に膝が痛い】場合です。日常生活動作で言えば【歩行時に方向転換した瞬間に膝が痛い】ときなど疑って良いでしょう。

もちろん捻る動きに弱い膝ですのでねじれば痛みが誘発されるのですが、階段昇降や立ったり座ったりする瞬間(膝の曲げ伸ばしをするとき)よりも顕著に体をねじった時に痛むようでしたら肋骨との関連が疑わしくなってきます。

簡単に検査する方法は立った姿勢の状態で上半身だけねじったときに膝が痛むかどうかです。もし下半身の運動を起こさずに上半身だけ捻っているのに膝が痛むのであれば膝が上半身のねじる動きを代償している可能性が高くなってきます。

また、施術においては

 

①股関節・足首にアプローチしているにもかかわらずなかなか膝の痛みや不調がとれない

②肋骨の動きを術者が多動的にフォローした際に膝の痛みが和らぐ

③体をねじる際に術者が肋骨の動きを多動的に制限した際に膝の痛みが増悪する

 

などの現象が観察される場合には肋骨と膝の痛みの関連性を疑います(※②と③に反応が出ない場合には腰や首、顎関節の問題がある可能性あり)。

肋骨と膝痛の関連が疑われる場合にどうするか

 

施術でどのようにアプローチするのかという話になりますが、以下のような目的でアプローチを行います。

 

●肋骨の歪みがある位置を特定する(検査)

●歪み(主に肋骨と肋骨の間の隙間の不揃い)が特定できたら不揃いな部位(動きが悪くなっている部位)の動きが出てくるようにする。

●腹直筋や大胸筋、鎖骨のポジションなど肋骨に影響を与える可能性がある周辺部位の調整を行う。

●胸椎(背骨)の動きが悪い部位を特定し動きをつける。

 

肋骨に問題が出てくると大半の場合、腰や首にも問題が波及してくるため相互に各部位の検査を行いながら全身の施術となります。

もしあなたの膝の不調や痛みがいつまでたっても良くならないのであれば今回ご紹介したような原因があるからかもしれません。