筋膜(Fascia/ファシア)とは何だろう?

今回はいま注目されている【筋膜(Fascia/ファシア)】とは一体なんのかをご紹介させて頂きます。

 

「筋膜って何なの!?」とよくご質問を頂くのですが、そもそも【筋膜(きんまく)】という言葉に聞き覚えの無いという方が多いですね。

 

筋膜(Fascia/ファシア)とは何だろう?

簡単に言ってしまうと筋肉・骨・内臓を覆っている膜のことを筋膜と言います。コラーゲンを多く含む繊維状の物質であり、立体的な網目状の構造をしています。

 

たまにFascia/ファシアと呼ばれることもありますが、これは単に筋膜を英語でいうとファシアなだけで基本的に同じものを指します。

 

この筋膜はイメージ的には

 

●全身を一枚で覆っているタイツのようなもの

●筋肉や内臓が形をとどめておくために必要なラッピングにあたるもの(ソーセージでいうと皮の部分)

●筋肉や臓器がバラけない(あるいは動きすぎない)ように連結しておくもの(結合組織)

 

とイメージして頂けばよろしいかと思います。

 

アイダ・ポーリン・ロルフ博士(コロンビア大学医学部・ロックフェラー研究所研究員)は「筋膜とは構造の器官であり、三次元空間で体を正しく保つための器官である」と説明しています。

 

筋膜がないと人間は「立つことも動くこともできない」と言われており、実際に生まれつき筋膜がなく立ち上がることもできない難病も存在します。

 

また、筋膜は筋肉や臓器のようにエネルギーを消費しなくても体を保持し続ける事ができるという特徴もあります。

 

筋膜(Fascia/ファシア)の特徴って何だろう?

臨床的に筋膜(Fascia/ファシア)の特徴を挙げると重要なのは以下のような特徴です。

 

①弱い持続的なエネルギー(圧力)を加えると変形してしまう

一部でも動きが悪くなると全身の動きに影響をきたす

中途半端な力に弱く、反応しやすい(持続的な外力に弱く、瞬発的な外力には強い)

④感覚の受容器が存在し痛みや筋膜のテンションの変化を感じることが出来る(=肩こりなどを感じているのは筋膜)

 

上記の①~④はすべて筋膜に由来する症状の原因になりますし、セラピー自体もまた上述のような筋膜の特徴を活かして行われています。

 

例えば【①弱い持続的なエネルギーを加えると変形してしまう】【③中途半端な力に弱い】について具体例を出すと【長時間スマホでゲームやネット閲覧に興じてしまった】時などは非常に筋膜に悪影響が出ると言われています。私たち施術家はこの”悪影響”を【筋膜の癒着】と呼んでいます。

 

筋膜の癒着とは科学的には【筋肉の滑走の障害】であり、筋肉をまったく動かさない生活を続けていると【筋内膜の繊維が増加することにより膜の厚みが増加し、動く余地がなくなり動きが損なわれてしまう(正常な厚みであれば筋膜も柔軟に動く)】と言われています。

 

つまり、結果として上記の【②一部でも動きが悪くなると全身の動きに影響をきたす】ことにつながってくるわけです。

 

そのため姿勢の悪さや長らく改善しない痛みや症状がある場合、筋膜の動きが悪くなっていることが原因とも考えられています。

 

また、最近の研究では【筋膜(Fascia/ファシア)】には肩こりや腰痛、頭痛などの痛みを感じる受容器があることがわかっており研究の対象として注目を浴びているそうです。

最後に

今回は簡単に【筋膜(Fascia/ファシア)】についてご紹介してみましたがいかがでしたでしょうか?

 

難しい言葉で説明すると筋膜とは密生線維性結合組織(みっせいせんいせいけつごうそしき)と呼ばれるもので

 

●固有筋を覆う筋膜
●皮下にある全身を覆う筋膜
●骨膜
●腱
●腱膜
●靭帯
●関節包線繊維膜

 

等の膠原繊維(こうげんせんい)が豊富な一連の組織のことを指します。

 

NHKの番組【美と若さの新常識】でも紹介されていましたが筋膜(Fascia/ファシア)を肉眼で観察するとまるで蜘蛛の巣のように2次元、3次元に繊維が交錯しており、どこから筋肉でどこからが筋膜なのかという明瞭な境界がありません(そのため“一連の組織”と表現せざるを得ない)。

 

NHK【美と若さの新常識】より転載

言うなれば人体の形状や運動の基盤をなしている組織であり、非常に重要なものであると言えます。

 

筋膜はまだ研究が途上の分野ですが、これからも筋膜(Fascia/ファシア)に関する知見がどんどん増えていくと思いますので、また当ブログでもご紹介していきたいと思います。