顎関節(あご)の筋肉が緊張すると肩首のコリや頭痛、目の疲れ、果ては腰痛の原因になります。
今回は顎関節の筋肉を緊張させる原因の一つである上下歯列接触癖(じょうげしれつせっしょくへき/TCH/Tooth Contacting Habit)についてご紹介させて頂きます。
上下歯列接触癖(TCH)とはなんだろう!?
意外なことに上あごと下あごの歯は基本的に接触していないのが普通であり、1日の中でも20分程度しか接触していないと言われています。
しかしながら、上下歯列接触癖(以下、TCH)の方は無意識のうちに上下の歯を長時間接触させてしまうため、噛むための筋肉(咀嚼筋/そしゃくきん)緊張が起こりやすくなってしまうのです。
咀嚼筋の緊張状態が長く続くと「咀嚼筋障害(そしゃくきんしょうがい)」と呼ばれる筋肉や関節の不具合や痛みが出るようになり、いずれ異音や亜脱臼が常態化した顎関節症を発症する原因となるのです。
あごの不調は噛み合わせのみではない!?
あごのコリの原因というと「かみ合わせが悪いんじゃ?」とイメージする方が多いと思います。
確かにかみ合わせの不良が原因であごのコリや不調が発生することもあるので歯科医院ではマウスピースを推奨されますが、ある顎関節症に関する研究では「かみ合わせを正しても顎関節の不調や痛みが消えないばかりか返って悪化するケースが少なくなかった」という結果が出たそうです。
研究の被験者は500人以上にも上ったのだそうですが、顎関節症の原因の大半はTCHだったという結論が導き出されたのだとか・・・。
それではどうすればよいのだろう?
当院では度々、あごに関係する筋肉をセルフマッサージする方法をご提案してきましたが、もう一点オススメしたいのが【舌の力を借りて口を閉じるようにすること】です。
これは時に歯科口腔外科でも指導されている方法ですが、舌を上あごにくっつけて頂くように意識すると下あごが持ち上がって筋肉の力を100%使わなくても口が閉じるのですね。
これは私の予想ですがストレス反応として「無意識に噛みしめてしまう」ケースの他にも「口をぽかんと開けない!」としつけられてきたせいで「口を閉じようと意識するあまりに歯を食いしばってしまう」、あるいは「きりっと口を結んでいる姿が美しい」(ので口を閉じようと噛みしめてしまう)という日本人的な美意識もTCHの原因として少なからず関与しているのでは・・・と考えています。
また、【口を閉じる→上下の歯を合わせる】というイメージは持てても【口を閉じる→舌を上あごにつける】という連想はなかなかできないかもしれません。
しかし、上述のように【舌の力を借りて口を閉じる】ことはあごの筋肉の負担を軽減してくれるのでオススメです。