今回は【すねの外側が痛い】場合にどのような原因が考えられるか。そしてどのように施術するかについてご紹介させて頂きます。
すねの部分を解剖学では【下腿(かたい)】と言います。
下腿は太もも(大腿)と違って腓骨(ひこつ)と脛骨(けいこつ)という2本の骨で構成されており、足首や膝関節の運動を高める働きをしています。
すねの外側(以下、下腿外側)には前脛骨筋(ぜんけいこつきん)という筋肉があり、痛みが出ている場合には前脛骨筋や下腿外側にある腓骨と脛骨との関節に不具合が発生している可能性があります。
また、筋膜整体の理論では、脚の痛みやコンディション不良を股関節・膝・足首の関係性でみます(三位一体論)。
即ち、下腿外側の痛みに向き合う時、股関節・膝・足首への施術は欠かせません。
また、脚の筋膜は反対側の腕の筋膜と繋がりを持っているため、腕への施術も重要なアプローチになります。
◆前脛骨筋に問題がある場合
前脛骨筋は総腓骨神経(そうひこつしんけい)という神経によって支配されており、主に足首を背屈させる働きがあります。
この総腓骨神経はもともと股関節周りから配線が出ている坐骨神経(ざこつしんけい)が大元であり、坐骨神経が膝のあたり(腓骨頭/ひこつとう)で名称を変えたものになります(坐骨神経→総腓骨神経に名前が変わる)。
よって、下腿外側が痛む場合には股関節周りの筋肉(主に梨状筋/りじょうきん)や坐骨神経に神経圧迫が発生している可能性があります。
◆腓骨・脛骨の問題がある場合
下腿外側に痛みがある状態というのは、脚の外側に負担がかかっている状態とも考えられます。
その場合、腓骨が前方に変位してきているケースがあり、この状態を筋膜整体では【腓骨立ち(ひこつだち)】と言ったりもします。
この場合、腓骨にかかっている負担を軽減し、もとのバランスに戻すために、下腿と腓骨に調整を加えて戻していきます。
もちろん股関節・膝・足首にもアプローチし、丁寧に下腿のバランスを整えていきます。
◆腕への施術も重要!
下腿の外側は筋膜整体の理論において【サイドライン】という名前で分類される部位になります。
よって施術では下腿外側の痛みと関連している部位(トラブルが起こっている部位と関連したライン)に施術を行います。
下腿外側と関連している部位はおおよそ以下の通りです。
①膝・足首・足の外側
②股関節まわり
③肋骨
④上腕・前腕の外側
また、【サイドライン】とセットで起こってくるのが【バックライン】と呼ばれる筋膜のラインです。
バックラインは主に身体の背面にある筋膜のラインですが、ここにも施術を行っていきます。
複雑なのは下腿外側に痛みが出ている場合、必ずしも下腿外側(サイドライン)に原因がない場合が存在することです。
高齢の方などに多いのですが、内ももや腓腹筋(内側頭)をキチンと使えていないことで外側に痛みが出ているケースがあります。
特徴としてはO脚で猫背、噛み締めをしている、などなど・・・。実はこれ、筋膜整体の理論的には【フロント・ラセン型】と呼ばれるタイプで、今回ご紹介させて頂きましたサイドラインに問題がある方(=バック・アウトサイド型)と真逆の特徴を持ったタイプになります。
即ち、タイプの違う方に合わないタイプの施術をしてしまうと返って痛みが増大するなど大変なことになるってこと・・・!
あなたの痛みがいつまでもよくならないのであれば、それは根本からアプローチの仕方を見直す必要があるのかもしれません。