今回は【太ももの外側が痛い】場合にどのような原因が考えられるか。そしてどのように施術するかについてご紹介させて頂きます。
詳しくは動画かサマリーをご覧ください!
サマリー
●太ももの外側には大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)などの筋肉が存在しており、そこが痛むケースが多い。
●腸脛靭帯炎(ランナー膝)が起こっている場合もある
●太ももの外側の痛みは下腿外側との関連がある
●太ももの外側の痛みをケアするためには足首・膝・股関節の調整が必要
●股関節-膝-足首はそれぞれ動きを補い合う関係にある(三位一体論)
●太ももの外側の痛みと関連がある下腿外側の筋膜の癒着は【噛みしめ】と関係がある。
●【噛みしめ】は身体全体のバランスを崩す原因となる。
●骨盤の運動・バランスがおかしくなっても太ももの外側は痛くなる。
●よって太ももの外側だけアプローチしても結果が出づらい。
太ももの外側が痛い原因とは何だろう?
太ももの外側には腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)と呼ばれる靭帯が張っており、ここが緊張したり筋膜の癒着を起こすと【太ももの外側の痛み】を感じるようになります。
また、ランニングなどで膝の屈伸運動が過度に繰り返される(オーバーユース)と腸脛靱帯が炎症を起こし、腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)というスポーツ障害を引き起こします。
腸脛靭帯炎はまたの名を【ランナー膝】とも言い、これはランニング(特に長距離ランナー)による代表的な膝障害です。
ランナー膝は大腿骨外顆(だいたいこつがいか)という部位に腸脛靭帯が接触・摩擦(こすれる)して炎症や痛みを起こすのです。
それでは腸脛靭帯炎や太ももの外側の痛みはどのようにケアすればよいのでしょうか?
外側の痛みはどのようにケアすればよいのだろう?
ランナー膝などのスポーツ障害に起因する太ももの外側の痛みについてはオーバーユース(使い過ぎ)が主な原因なので基本的に安静・休養が大切です。適切な休養期間に加え、アイシングやストレッチなども有効でしょう。
また、特にスポーツ障害を原因としない慢性的な太ももの外側の痛みについては【股関節-膝-足首】にそれぞれアプローチしてあげる必要があります。股関節-膝-足首はそれぞれお互いに運動を補い合っている関係にあるため、痛みや症状がある部位だけをケアしてあげても意味がありません(これを三位一体論と言います)。
特に下腿外側(すねの外側)は腸脛靭帯の癒着と関係性が深く、外せないポイントと言えます。
余談ですが上述の下腿外側は【噛みしめ/歯ぎしり】がある人が特に癒着を起こしやすい部位であることが臨床家のデータから明らかになっています。
噛みしめ癖のある人は【身体の前面の筋膜や内ももの筋膜の癒着が起こりやすい】傾向にあり、結果として身体全体のバランスを崩す原因になることから下腿外側(あるいは腓骨/ひこつ)に負担がかかってくるのです。
一般的には全く関連性を感じない部位にも原因やアプローチのヒントがあるのです。
骨盤との関連性について
太ももや下腿(すね)の外側に痛みを起こす原因の中に【坐骨神経痛による放散痛】があります。坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)とは坐骨神経の圧迫によって発生する神経痛のことですが、この坐骨神経の圧迫が時に太ももや下腿(すね)の外側に痛みを起こす原因になるのです。
この坐骨神経は梨状筋(りじょうきん)という筋肉の隙間(梨状筋下孔)を通過しており、股関節周りの筋硬結や長時間の座位などによる圧迫によって発生します。
また、しばしば原因になるのが骨盤の不安定性です。骨盤にはいくつかの筋肉が付着していますが、特に中殿筋(ちゅうでんきん)と小殿筋(しょうでんきん)という筋肉が歩行や走行の際などに骨盤を安定させています。
これは私の経験上になりますが、どうも上述の小殿筋が股関節の安定に特に関与しているようで、小殿筋に筋膜の癒着が発生すると小殿筋がうまく動作しなくなって結果として股関節の不調や坐骨神経痛を引き起こす原因となってくるようです。
よって太ももの外側の痛みについては腸脛靭帯のみならず小殿筋にもアプローチしておくと有効です。
お年寄りの太ももの外側の痛みについて
高齢者の場合、内ももが弱ることで身体の支え・バランスが失われ、支えのメインが脚の外側で行われているケースが非常に多いです。
この場合には太ももの外側が痛いからといって外側にアプローチしてしまうと返って支えが失われ、痛みが増大してしまう危険性があります。