耳鳴りの原因のひとつに「肩こりや耳周りの筋緊張」があると言われていますが、他にも慢性的なストレスや自律神経、胃腸のコンディション、ストレスを感じやすい性格傾向など原因は多岐にわたるため丁寧にカウンセリングを行なって一番大きな原因が何かを特定する必要があります。

当院に寄せられるご相談の多くは「病院だけでは満足な結果が得れてない」方がほとんどなのですが、その方々にはある共通点があります。
その共通点とは何らかの精神的ストレスや胃腸の不調といった「自律神経に関係するお悩みを持っている」ということです。

音の認識には脳の皮質下という領域が関わっています。後述しますがこの皮質下は耳鳴りと密接な関係があると言われています。
この皮質下と密接な関係を持っているのが大脳辺縁系（だいのうへんえんけい）と自律神経系です。

大脳辺縁系と自律神経系は非常にストレスに弱いという共通点があり、ストレスにさらされると大脳辺縁系と自律神経系が緊張して脳の皮質下にも悪影響を及ぼすという「負のスパイラル」が形成されるのです。

なかなかよくならない耳鳴りの解決にはこの悪循環を解消してあげる必要があるのですが、自律神経を整えるアプローチが不足していると悪循環が繰り返されてしつこい耳鳴りに悩まされ続けてしまうのです。

症状が悪化してくると常に音が鳴っていると気になり日常生活に支障をきたすばかりでなく聴力障害が悪化していくケースもあります。

また、耳鳴りの原因として医学的に想定されているのが「中枢発生説」と「末梢発生説」の２つの考え方です。

慢性の耳鳴りに多いとされ、聴力障害（難聴）が耳鳴りの原因とする説です。

難聴が原因で音がうまく認識できなくなると脳は少しでも音をとらえようと感受性を高めるため、結果として音が聞こえていると錯覚して耳鳴りが起こるというものです。

脳ではなく内耳に問題があると耳鳴りが起こるとする説です。

これは内耳にある有毛細胞（ゆうもうさいぼう）という細胞の働きが弱っている（あるいは停止している）場合に脳へうまく音に関する情報が伝達されず耳鳴りが起こるというものです。

音とは空気の振動です。
この振動は人間の外耳→中耳→内耳という順番で伝わっていき、内耳にある有毛細胞の働きで音の情報が電気信号へと置き換えられて脳へ送られます。
電気信号に置き換えられた音の情報が脳の皮質下に到達すると「それが何の音であるか」を認識するのです。

しかし、あらゆる音が脳によって認識されているわけではありません。
例えば友人や恋人とデパート内を散策しているところをイメージしてみて下さい。
館内のBGMや他のお客さんとスタッフが話す声、館内インフォメーションなどなど、あらゆる音が人間の聴覚に飛び込んできます。
しかしながら連れ合いとしている会話の内容は理解できてもお客さんと店舗スタッフが何を話しているかまではハッキリとわからないのではないでしょうか？

このように脳が認識する音の情報というのは状況や感情、興味の有無によって優先順位が選択的に振り分けられており、重要度の高い情報を脳が認識できるようになっているのです。

重要度が高い音情報は興味や感情を伴うもの以外に「生命や身の危険に関わるもの」が挙げられます。
ようは耳鳴りのような健康不安を想起する音情報は優先順位が高くなるため、どんどん耳鳴りが気になる（あるいは耳鳴りに対する脳の感受性が高まる）ようになるのです。

具体的なポイントをご説明するとお腹周りや顎関節、肋骨周りなどが重要なポイントになります。
これらは全て呼吸に関わっています。
呼吸は人間が自発的に自律神経系をコントロールできる唯一の方法と言われ、呼吸力が低下すると自律神経系の不調が起こりやすくなるのです。

また、自律神経系は消化器をはじめとした臓器をコントロールしている神経でもあるため、例えばストレスによって胃の不調が起こっていると自律神経を経由して脳の皮質下にも悪影響がおよび耳鳴りを悪化させる原因となります。

このようになかなか良くならない耳鳴りはさまざまな問題・原因が複合的に絡まり合って「負のスパイラル」を形成しているため、多角的な観点でアプローチする必要があるのです。

どこへ行っても耳鳴りが改善されずお困りの方はぜひご相談ください。きっとお役に立てると思います。