今回はちょっと(かなり?)マニアックなお話を。
皆様は【広頚筋(こうけいきん)】という筋肉をご存じでしょうか?恐らくですが解剖学をたしなんだ方ぐらいしか聞いたことがない筋肉だと思います。
私が知る限りこの広頚筋が話題になり注目が集まったことはこれまで無かったかと・・・。解剖学的にも「首の皮膚にシワを寄せる」という意味不明な作用しか語られておらず、以前に拝見した解剖学のDVD(海外)でも「作用は謎」と断じられていたわけございます。
しかし!筋膜整体における広頚筋は非常に重要な役割を果たしている筋肉であり、かつ意外なほどパワフルな筋肉でもあるのですね。
それでは筋膜整体における広頚筋のポジションとはいかなるものか!?以下にご紹介させて頂きます。
【筋膜】の観点から見た広頚筋
皆さんは「キネシオテーピング」というテクニックをご存じでしょうか?
キネシオテーピングは「キネシオテープ」と呼ばれる伸長力のあるテープを筋肉の走行や関節の運動方向に沿って貼ることにより筋肉・関節運動のサポートをさせるというものです。いわば【人工筋肉テープ】といったところでしょう。
筋膜整体における広頚筋はキネシオテープのようなもので、テープ一枚、あるいは皮膚一枚分ほどの厚みしかなくても【伸長力で首の運動をサポートする】役割があると捉えています。
主に首の屈曲と伸展(うつむく/上を向く)のサポートをしているものと考えられますが、この広頚筋が筋膜的に癒着を起こすとどのようなことが起こるのでしょうか???
広頚筋が癒着を起こすとどうなる!?
広頚筋が筋膜的に癒着を起こすと首や顎関節が前面に引っ張られ以下のような症状を引き起こします。
〇呼吸が苦しくなる(直筋群への影響)
〇顎関節痛
〇顎関節に関係する筋肉の痛み
〇後頚部(首の後ろ)の痛み(=板状筋が前面に引っ張られるため)
〇胸鎖乳突筋の癒着の増悪
上記のような症状が発生してくると連鎖反応的に他にも頭痛などいろいろな症状の原因にもなるのです。
最後に
このように解剖学的にも施術家たちの間でも軽視されがちな広頚筋ですが、筋膜整体においては非常に重要な筋肉として施術のターゲットにします。
現代の常識だと関節や筋肉にフォーカスしがちですが、筋膜の癒着は「皮膚のような」広頚筋のみならず、「皮膚自体」からも始まるのですね。
整体学における皮膚へのアプローチというと【整膚(せいふ)】というテクニックがありますが、皮膚のみでとどまらず【筋膜】【筋肉】【関節】をそれぞれの関係性の中で見立てて施術していくことが私は重要と考えています。