【いま話題】上位交差性症候群の原因と解決法

現代人に多いと言われている上位交差性症候群(あるいは上部交差性症候群)をご存知でしょうか?

 

何やら難しい名前ですが、一体どんなものなのかご紹介させて頂きます。

上位交差性症候群とは何だろう?

ざっくり説明すると上位交差性症候群とは猫背姿勢が原因で首と背中の筋肉のバランスが崩れてしまい肩首のコリや頭痛などの原因となっている状態のことです。

 

この筋肉のアンバランスは①筋緊張②筋の弱体化として現れてきます。ようは緊張して硬くなった筋肉と筋力が弱体化した筋肉が混在した状態になっているためにバランスが崩れているのです。このアンバランスが肩を中心に交差上に発生することから上位交差症候群と呼ばれています。

 

図の”ジグザグ線”の部位が【①常に緊張して硬結している筋肉】を記入している部位が【②常に引き延ばされていることで弱っている筋肉】です。

 

この①と②は表裏の関係があり、ラインで結ぶとこのように”交差”しているのがお判りいただけるかと思います。

 

 

理学療法科学の研究により、不良姿勢により【常に緊張している筋肉】と【弱体化している筋肉】が一定の法則性に則って出現してくることが明らかになりました。

 

また、このような筋力の不均衡状態が身体のあちこちに出現すると筋肉や関節に悪影響を与えます。この筋の不均衡のことを【マッスル・インバランス】と言います(※imbalance(インバランス)とは不安定、不均衡あるいはアンバランスのこと)。

 

上位交差性症候群になりやすい姿勢とは?

具体的に言うと着席してパソコン画面を閲覧している姿勢(ようは猫背)が頻回かつ長時間繰り返されると上位交差性症候群が完成していきます。

 

 

前傾姿勢の状態が続くと背中が丸まって頭部が突き出される姿勢になってきますが、そうなると身体の筋肉や関節は【変位】と言って機能や位置が偏った状態になってきます。

 

例えば猫背になると肩甲骨は外側に変位してきますのでそれに伴って肩は内巻き(巻き肩/肩関節の可動域制限の原因)になりやすくなります。

 

また、このような偏った姿勢を習慣にしていると筋膜(結合組織)が非常に悪影響を受けます(癒着しやすくなる)。筋膜が悪影響を受けると筋肉の動きそのものが制限されてくる上に筋膜に存在している痛みやコリの受容体が刺激され、余計に痛みやコリを感じるようになるのです。

 

セルフケア方法について

上述の通り上位交差性症候群(あるいはマッスル・インバランス/筋肉の不均衡)では猫背姿勢が原因で緊張する筋肉と弱体化する筋肉が一定の法則を以って出現してきます。

 

●緊張している筋肉:首の後ろの筋肉と胸や肩の前面の筋肉
●筋力が弱体化している筋肉:首の前の筋肉(深部)と背中の筋肉

ケアの方法としては緊張して硬くなっている部分はリラクセーションやストレッチすることで弛め、弱っている部分は筋力強化(トレーニング)で鍛えることで筋の不均衡状態が是正されてくると言われています。

 

施術においては主に硬くなった筋肉にアプローチすることが有効ですが、相対的に弱体化してしまった筋肉については筋力が回復するのにしばらく時間がかかります。リハビリや筋トレ的なイメージでケアされるのが良いでしょう。

 

上位交差性症候群で影響を受ける筋肉

このように上位交差性症候群は不良姿勢が原因で筋の不均衡を起こし、緊張する筋肉と弱体化する筋肉が出現します。

具体的な筋肉の名称は以下の通りです。

●緊張する筋肉 → 弛めてあげるべき筋肉

①僧帽筋上部

②肩甲挙筋

③胸鎖乳突筋

④大胸筋

●弱体化する筋肉 → 筋力強化すべき筋肉

①僧帽筋中・下部

②菱形筋

③前鋸筋

④広頚筋

⑤頸部屈筋群(深部)

併発して起こる上肢のトラブル

上位交差性症候群が起きると、姿勢の変位とともに上肢の筋膜のよじれ・ねじれが発生してくるため、肩首のみならず腕自体の不調の原因にもなってきます。

 

これを【関節のマルアライメント(関節のかみ合わせの不良)】と言い、具体的には内側上顆炎・外側上顆炎といった肘周りの痛みや腱鞘炎など手首周りの不調の原因になると言われています。

 

つまり上位交差性症候群は上肢のマルアライメントを伴うことが多いので手首・前腕・肘と腕まわりのアプローチも併せて行うと良い傾向があります。

 

最後に

今回は上位交差性症候群についてご紹介させて頂きましたが、下位交差性症候群というものも存在します。

 

それでは下位交差性症候群とは一体どのようなものなのでしょうか?次回ご紹介させて頂きますのでお楽しみに・・・!